少し長くなりますが、W&W Ballet発足までの経緯をお話したいと思います。
私は主にスポーツをされている方の柔軟性の向上に特化をした施術やトレーニング指導を行っております。野球、柔道、サッカーなどのスポーツをしている方をはじめ更に柔軟性を必要とするバレエ、ダンスをされている方のボディサポートを行っています。
2017年のある日、クライアント様のバレリーナとそのお母様と雑談をしていたときに「バレリーナは、人に観てもらえる舞台(機会)がとても少ない」という現実を知りました。
主に発表会とコンクールしかありません。コンクールはお教室にもよりけりですが、1年~2年に1回の頻度。コンクールはお教室の中でも優れている子しか出られません。
私は趣味で野球をしていて小学生の頃から35歳になった今も続けています。野球は街中にグランドの数もたくさんあれば野球チームの数もたくさんあって毎週毎週試合ができる環境があるけれど、バレリーナの人達は?と考えたときに、バレエをしている人達が、もっと気軽に楽しく踊れる舞台があってもいいんじゃないかなと。
私は素人だったので、世の中にある様々なダンスイベントと一緒にバレエって踊れないのかなと。(チアダンスやチアリーディング、ヒップホップダンスなどよくイベントや大会をしているのを見たことがあったので安易な発想で申し訳ありません・・)
ネットで調べてみるとそのようなイベント等にバレリーナが参加したという記事は少なく、理由を突き詰めてみるとリノリウムシートが敷いてありませんでした。リノリウムシートとはバレエダンサーが踊るには必須の床に敷くシートのことで舞台一面を敷き詰める必要があります。これがないと滑って足を怪我してしまったり、ジャンプ等の動作もとても危険なのです。
そしてこのリノリウムシートを敷くためにはレンタル費、輸送費、設置のための人件費が掛かり、イベント開催のコスト増に繋がるのでダンス大会やイベントなどでは敷かないことがほとんどです。これでなぜ、他のダンスジャンルと一緒にできないのかということが分かりました。
そのような舞台が無いのであれば作ってしまえばいいと思いました。ただ舞台で踊ったことはおろか、舞台を開催するためには何が必要なのかすら素人の私には分からなかったので、知り合いのバレエ講師の先生のご紹介で舞台監督さんをご紹介頂き、その監督さんがまたとても良い方で色々と教えて頂きました。
またその舞台監督さんのご厚意で実際の舞台設営を丸1日経験させて頂き、リノリウムーシートを設置するスタッフの人。音響を設置・操作する音響チームの人。照明を設置・操作する照明チームの人。客席からは見えない数多くのスタッフの方々が関わってくださって舞台が作り上げられるんだということを学び、主催者として具体的に何をしなければいけないのかということを知ることができました。
その後交野市、枚方市、寝屋川市すべてのバレエ教室、ダンス教室にご連絡をさせて頂き、出演のご案内をさせて頂きました。
そしてバレエをメインにしたダンスイベント、交野ダンスフェスは2018年11月25日に第1回、無事開催することができました。各お教室の先生方やイベントスタッフに助けて頂きながら至らぬ点も多々あったと思いますが、本当に温かい方ばかりでした。
その後も半年に一度のスパンで開催をしてきました。第2回以降は会場客席がほぼ満席になるほど地元からも一般のお客様がたくさん観に来てくださり、出演ダンサーはもちろん地元の方にも愛されたイベントに成長しました。
◆ 第1回 2018年11月25日
出演者組数:27組 出演者数:約120名 観客数:約300名
◆第2回 2019年7月21日
出演者組数:54組 出演者数:252名 観客数:約500名
◆第3回 2020年2月8日
出演者組数:55組 出演者数:250名 観客数:約500名
第4回交野ダンスフェスを2020年7月12日に予定をしていましたが緊急事態宣言を受けて各お教室が活動自粛になり、レッスンができず会場も使用制限が掛かる状態となり、コロナの影響で中止することが決定しました。
各バレエ教室の先生方ともお話をさせて頂きましたが、発表会や出演予定だった舞台が次々に中止になり、生徒達が目標を持つことができず、モチベーションを維持するのが今後難しくなる、というお声をたくさんお聞きしました。
そして私にできることはなにかと考えたときに、子供達が普段の練習を頑張れるモチベーションを継続維持できるような、目標となるような、人に観てもらえる舞台を作ること、ではないかということでした。
ただ、このコロナの状況下で今まで通りの舞台はできません。会場側からも使用人数の制限が掛けられ、また不特定多数が出入りするような大会・イベントは制限されていました。
そこで私が考えた企画が、客席に特大スクリーンを設置し、1000人の方々がZoom等の遠隔視聴アプリで自宅から観覧でき、擬似的ではありますが、客席にたくさんの観客達を作り出す、という新しい形の舞台でした。演技終了後には、観客からの拍手を生音でバレリーナの皆さんに届けます。
一方通行の動画配信では通常レッスンと変わらず、踊り手は緊張感も無ければ満足感も得られません。客席の視線、拍手というフィードバックがあることによって、100回のレッスンにも勝るとも劣らない経験値が得られると考えましたが特大スクリーン、配信設備に莫大な費用が掛かることが分かり、今までの開催規模では難しい・・・ということでクラウドファンディングで支援を募ることにしました。
私だけではバレエ界における知名度も人脈も全くなかったため、若手のバレエダンサーの方に協力を頂かないと実現は難しいと思いました。
そこで若手のバレエダンサーさんにSNS等でメッセージをお送りさせて頂いて、「今度このような企画をしたいと思っているのですが、ぜひオフィシャルサポーターとして協力をお願いできないでしょうか」と一人一人の方とZOOMでお話させて頂き、11名の方が快諾してくださり、1000-100Vaのオフィシャルサポーターとしてご協力して頂きました。
SNSや知人の方に1000-100Vaのことを知らせてくれたり、知り合いの企業様へ繋いで頂いたり、インスタライブで2人ずつ対談形式で多くの方に伝えてくれたり、1000-100Vaの参加教室へ子供達の頑張っている様子を観に行ってくれたり、その中でバレエの指導をしてくれたりメンバー皆が1000-100Vaの舞台を実現させるために全力で取り組んでくれました。本当に有難かったです。
そしてオフィシャルサポーター、またご支援して下さった皆様のおかげで目標の支援金額が集まり、舞台が開催できることがなりました。本当に感謝です。
当日は山口県、東京都、埼玉県から集まるオフィシャルサポーターもいたのでせっかく皆で集まるのだからということで個々のVaだけでなくオフィシャルサポーターで1つの演目を踊りたいということで情熱大陸を踊ってくれることになりました。クラウドファンディングを達成し舞台を実現させるという1つの同じ目標を共有し、直接会えない中でも情熱大陸のイメージをLINEで共有し、そんな濃い時間を一緒に過ごしてきたオフィシャルサポーターメンバーにはいつしか絆のようなものが生まれていました。
そして舞台終了後に彼らが「またこのメンバーで一緒に踊りたいね」と言っていたのを聞いて私はとても胸が熱くなりました。この11人のメンバーを1回だけのスポットの集まりではなくチームとして存続させたいと強く思いました。
話は少し変わりますが、日本国内でプロのバレエダンサーになったとしてもアルバイトをしないとダンサーの収入だけでは生活していくことは難しいという話を聞いたことはありませんか?私も以前から耳にしたことがあり、やはりこれが現実のようです。
ただ主催者側目線(運営側、バレエ団など)からみるとそうなってしまうのも仕方ないと思います。なぜなら1つの舞台を開催するには数百万~数千万円の莫大な費用が掛かります。チケット収入から舞台費用を差し引き、数十名の所属ダンサー、スタッフさんへ満足いく額の報酬を支払おうと思うと正直難しいと思います・・・
なので純粋に舞台収入だけでバレエ団体を運営していくという仕組みには限界があると思っています。また文化の違いというのも大きな要素のひとつですね。海外のヨーロッパなどではバレエダンサーが公務員で生活が安定しているという国も珍しくなく、国や自治体からの補助金によって団体運営のバックアップがあります。国営のバレエ団という国もありますよね。海外ではお金を払って芸術や文化を鑑賞するというのは当たり前の文化なのです。なので国も自治体も理解があり、バックアップしようとなりますが日本ではお金を払って芸術や文化を鑑賞するという習慣がありません。家族やデートで「バレエを観にいこう」というのは海外では日常生活でのワンシーンとして当たり前の光景なのです。
バレエ業界の現状を変えるにはバレエを知らない一般の人達にバレエの素晴らしさを知ってもらうことは必要不可欠だと考えています。
よくバレエは観るための敷居が高い!というのをバレエ界の方とバレエの歴史を知らない方との間で論争になっているのを見かけますが、もちろん敷居が高いこともあるかもしれませんが一般の方達にバレエの素晴らしさが伝わっていないのは、そもそもバレエに触れる機会が少なすぎることが原因だと思っています。
バレエのコンクールを観にいく一般の人はいないですよね。バレエの発表会を見に行く一般の人はたまたまお友達が出演者で誘われた方だけですよね。ということはバレエに全く触れる機会がないまま、数千円のチケットを購入してバレエ団公演を観に行こうとはならないわけです。
まずは一般社会や日常生活、皆さんの目の触れる場所や機会にバレエを持っていき、触れてもらうことが今後のバレエファンを増やしていく第一歩だと考えています。
例えばイオンモールやアウトレットモールの特設ステージでバレエを踊っていたら何かな?と思って足を止めて観てくれますよね。広い公園の広場でバレエを踊っていたら、通りすがりにでもバレエを観てくれますよね。例えば高齢者施設の運営者の方からバレエを入所者さんにみせたてあげたいんだけどというオファーがあるのであれば、バレエを観たいと思って下さっている方のところへ行ってバレエを披露したいと思っています。
要するにバレエは屋内の舞台で踊るものという固定概念は捨てて、一般社会や日常生活においてバレエを知らない方達がバレエに触れられる機会を作っていきたいと考えています。またバレエの音源ももちろんクラシックではなく、皆さんが知っている音源でバレエを披露するのもN&W Balletの特徴の1つですね。
一般の方からみたバレエダンサーというのは「バレエの舞台でバレエを踊ることで収入を頂いて生活をしている」というのが一般的な見え方かと思います。しかし、収入を得る形をその1点に絞ってしまうことは、あらゆる可能性を閉ざしてしまうことにもなります。
バレエダンサーさんを生でみたときにこの人モデルさんかな?と思う人も多くいるでしょう。それだけ彼らは何十年もかけてバレエのトレーニングを重ね、容姿にも磨きをかけて努力をしてきました。バレエダンサー一覧ページの彼らをみてください。これらの写真を見て頂くだけでもモデルなどのお仕事は十分こなすことができると考えています。また5人、10人のバレエダンサーでCMや映像作品に出演をして対価を頂くといったのも新しい収入を得る形のひとつですよね。
バレエダンサーは体幹力の強さと柔軟性に関してはあらゆるスポーツジャンルと比較しても長けている能力であると私は思っています。(バレエはスポーツではありませんが)そしてその能力はあらゆるスポーツジャンルが競技能力向上のために欲しており、日々トレーニングをしていることでもあります。
もしバレエダンサーが野球や柔道、サッカー、その他のスポーツジャンルに対して体幹・柔軟トレーニング指導を当たり前のように行っている未来が実現できたなら面白くないですか?私は実現できると思っています。これも新しい収入を得る形ですね。
今、バレエをお子さんに習わせている保護者様にお聞きします。バレエをいつまで習わせるのか考えたことはありませんか?それは小学校6年生までですか?中学校3年生ですか?高校3年生までですか?
海外に行ってプロのバレエダンサーになれば収入に困らず、生活はしていけると思います。ただそれはコンクールで上位入賞してスカラシップなどを獲得し海外留学を経て・・・という非常に狭き門です。日本国内でバレエを生業としてやっていくことは非常に厳しい環境であることは間違いありません。なのでいつか子供にはバレエを辞めさせて別の道に進ませることが子供の為だと考えることもあったと思います。
でももし、「バレエが職業です」と当たり前のように胸を張って言える環境が日本国内で出来上がっていたらそのような悩みもなくなりますよね。そのためには舞台で踊る以外にもバレエの新しい価値観を創造して築いていく必要があります。1000-100Vaのオフィシャルサポーターメンバーなら、現役バレエダンサーが抱える悩み、そしてバレエを習わせている親御様が抱えている悩みも同時に解決できると私は信じています。
また同じく1000-100Vaに出演して下さった一部のお教室からもジュニアメンバーとしてメンバー入りして頂きました。メインメンバーとジュニアメンバーで力をあわせて、バレエを知らない一般の人達にバレエを知ってもらうためにバレエを様々な所で披露していくこと。そしてバレエの新しい価値観を創りだし、舞台上でバレエを披露する以外にも収入を得られる形を実現するためにN&W Balletは誕生しました。